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今年の1月に小学館の「精選版 日本国語大辞典」のアプリが登場したのを覚えている方も多いでしょう。
7,800円(発売時は期間限定で4,800円)と高額なアプリですが、45,000円とまさしく桁違いの書籍版と比較すれば「買うしかない」と大きな話題になりました。
このアプリを作っているのは、辞書・学習系アプリで有名な物書堂。
そんな物書堂にはもうひとつ、文章に携わる仕事をしている人には欠かせないアプリがあります。
それが、「類語新辞典」です。
あなたの知らない言葉は読者も知らない
国語辞典を開くのはどんな場合でしょうか。そう、もちろん知らない言葉を調べるときです。
難しい文章を読むには便利ですが、原稿を書くときには使うべきでないと思います。
なぜなら、文章を書くことを仕事にしているあなたが知らない言葉は、読者も知らないからです。
専門書や専門誌など、特定分野の語彙レベルが一定以上の読者を想定している場合であれば、あなたが知らず読者は知っている言葉というのもありますし、安易に平易な言い換えをすることで伝わらなくなることもあるでしょう。
しかし、ウェブメディアや広告で文章に携わる場合、読者の語彙レベルはまちまちです。
特に意図なく一般常識レベル以上の語彙は使うべきではないでしょう。
そこで、類語辞典です。
より平易な言葉に言い換える
たとえば、以下のような文章があったとします。
さらっと書いてあるとなんとなくかっこいいのですが、「忸怩たる思い」はぎりぎりで一般常識レベルの語彙から外れてしまうので、書き換えましょう
かといって「忸怩たる思い」に代入できる他の言葉と言われてもすぐには思いつかない…ということもあるでしょう。
それがまさしく、その言葉を本当には知らない証拠です。
そんな時には類語新辞典で「忸怩」を検索してみます。
すると「忸怩」を中心として上下に意味の近い言葉が並んでいます。
離れるほど意味の遠い言葉になるので、できるだけ近くから書き換えの言葉をチョイスするといいでしょう。
どうでしょう。
もとの意味をほとんど変えずに一般常識レベルの語彙に書き換えられました。
より豊かな表現のために
とはいえ、平易な表現だけでは文章がつまらなくなる場合もあります。たとえば、グルメ記事を書くか編集していてこんな文章に出会ったとします。
意味はよく通じるし間違ってはいないけど、もうちょっと豊かな表現を使いたい…。場面によってはそんなことも考えるでしょう。
そんなときは、類語辞典で「おいしい」を検索してみましょう。
すると、
さきほどの「忸怩」と同じように類語が上下に並びます。
「甘味」がすぐ上なので「やっぱり甘いは美味い、なんだなぁ」と感心しつつ、
気になる言葉をタップすれば簡単な意味を見ることができます。
もしあなたが冒頭で紹介した「精選版 日本国語大辞典」のアプリを持っていればそのままより詳しい語釈を見ることも可能です。
すると、さきほどの文章をこんな風に書き換えられます。
「おいしい!」と子供がはしゃいでいるような文章から、落ち着いた大人がじっくり味わっているような、雰囲気のある文章になりました。
誰にでもわかる言葉・豊かな表現
と、このように類語辞典を上手に使うと文章を書くのも編集するのもとても楽になります。
肩肘を張って難しい言葉を使っても読者に理解してもらえなくては意味がありませんし、逆に簡単すぎる言葉では表現が足りない場面もあります。そのどちらにも役立つのが、類語辞典なのです。
ちなみにこのアプリ、トップのインデックスはこんなふうになっていて、ただ触ったり眺めたりするだけでも楽しめますよ。
「身振り」の項目から、
「笑い方」を選ぶと、
なんだか楽しそうなページにたどり着きました。
この記事を読んでいるあなたは、文章に携わる仕事をしていて、そしてきっと言葉が好きな人でしょう。
1,600円とアプリにしては高額ですが、必ず満足してもらえると思います。あとで感謝しますよ。
この記事で紹介したアプリ