「あなたにとって◯◯とは?」絶対禁止

    
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フリーランスのコンテンツプロデューサーとして携わる仕事で多いのが、オウンドメディアの編集や社員ライターへの講習です。

オウンドメディアの運営は、編集プロダクションが編集する外注運営型か、社員が編集者とライターを兼ねている社員運営型かのどちらかに大きく分けられます。
前者であれば編集者もライターもプロなのですが、後者では多くの場合、編集もライティングも未経験のメンバーで運営されます。

そこで、僕の出番です。
昨年までkakeruの編集長を務めていましたが、そこがまさに社員運営型でした。通常の編集長業務(編集方針の策定、運営、企画、記事チェックなど)とは別に、社員ライターへの講習も行いましたが、そこで特に力を入れて教えていたのがインタビューの作法です。

「あなたにとって◯◯とは?」絶対禁止

インタビューの作法というと「ノートパソコンを自分と相手の間に置かない」「メモは見えないように、または意図して見えるように」などいろいろあるのですが、今回は禁じ手としている質問について書きます。

それが、タイトルでも書いた「あなたにとって◯◯とは?」です。

この質問はテレビのインタビューで演出としてよく使われるので、ついついしたくなってしまう気持ちも分かります。
ですが、テレビでこの質問が出る場面あくまでもプロのインタビュイー(回答者)を対象にした台本のある「演出」であって、質問を通じてインタビュイーから言葉を引き出すというインタビューの基本からは逸脱した行為です。

インタビュワーの怠慢

書面での質問・回答ではなく、インタビュワーとインタビュイーが一対一で話す理由は、こちらの質問によって相手に気づきを与え、インタビュイー自身も考えたことのなかった回答を引き出すことにあります。

それには、相手のことをよく理解してインタビューに臨み、話の流れ全体を掴みながらインタビュイー本人が気付いていない視点から質問を投げかける必要があります。
それこそがインタビュワーの仕事であると言えるでしょう。

きちんと時間をかけ、質問を工夫し、相手の心の動きを敏感に捉えながらインタビュー全体を通じて探るべき答えを、一言で聞いてしまおうとするのが「あなたにとって◯◯とは?」という質問だということです。

なので、社員ライターや新人ライター向けの講習を依頼されたときには、そのインタビューを読者にとってはもちろん、書き手にとってもインタビュイーにとっても価値あるものにするため「あなたにとって◯◯とは?」を聞くのは禁じ手だと教えるようにしています。


 

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